Tony Higa Airshows
PITTS
1986年にトニー比嘉が購入したPitts S1Sのプロジェクトは、中古の胴体と新品の翼のキット、そして中古エンジンという状態でしたが、Pittsは21世紀の今日でも新品で購入することができる現役の機体です。
カーティス・ピッツの設計による原型が初飛行したのは1944年。その後、きわめて高性能なエアロバティック機として一世を風靡し、特に1960年代から1970年代半ばまでは世界選手権クラスのエアロバティック競技会で数々の素晴らしい成績を残しています。新世代の単葉機が登場した現在では、競技用機としてはトップクラスでの活躍は難しくなっていますが、エアショーの世界ではまだまだ現役として人気の存在であり、なにより高性能なスポーツ機として多くの人々に愛され続けています。
こうして今や小型複葉機の代名詞にもなったPittsですが、その長い歴史の中で数多くのバリエーションが生まれており、現在では単座型のS1シリーズと、機体を拡大してより強力なエンジンを搭載できるようにした複座型のS2シリーズに大別することが出来ます。
Pitts S1S
Pitts S2B
リノ・エアレースのバイプレーンクラスに出場する機体の多くもこのS1シリーズで、なかにはスピードに特化した大胆なモディファイを施した機体も存在します。しかし、現在のTangoTango は、エアロバティックにもレースにも使用できるように、Pitts本来のエアロバティック機としての性能を残しながら、スピードを高めるという方向性でモディファイを行っています。
トニー比嘉はPittsのエアショーパイロットのライセンスを取得しています。
作図:山下太一郎
T6 テキサン
1930年代から1960年代にかけて使用されたノースアメリカン社製の星型レシプロ高等練習機。製造国アメリカの陸軍・海軍はもちろんのこと、イギリスやイギリス連邦諸国で使用され、第二次世界大戦後は日本を含むさらに多くの国で使われました。アメリカ陸軍ではAT-6、アメリカ海軍ではSNJ、英連邦諸国では「ハーヴァード(Harvard)」と称されました。
練習機としての宿命で、ゼロ戦やマスタングなどのワーバードよりも操縦が難しくなるように設計されています。その操縦の難しさが、一部のパイロットから熱烈に愛されている理由でもあります。特に着陸時は予断を許さず、低速域での尾部の横ぶれを速やかに察知して対処しなければなりません。逆に考えれば、T6を操縦できれば、どのワーバードも操縦できると言えそうです。
トニー比嘉はT6のエアショーパイロットのライセンスを取得しています。機体の大きさを生かした、ゆったりとした大きなパフォーマンスが魅力です。
Background Photo by Ken Sakurai